過払い金の総額が少ないのであれば、司法書士でも弁護士でも大差はありません。ただ、借金問題で困っている人というのは、140万円を超えているケースが多いはずです。
そもそも自分自身に過払金がいくら発生しているかなんて、自分ではそう簡単にはわかりません。万が一司法書士に依頼をして140万円を超えている事が発覚したら、そこから今度は弁護士に依頼し直すなんてことにもなりかねないため、余分な費用がかかってしまう恐れがあります。
そのため、費用が安そうだからと安易に司法書士に飛びつくと、かえって費用が嵩む(かさむ)ことがあるため注意しましょう。
実は、弁護士の上限報酬と司法書士の平均的報酬は、債務整理や過払金においては同じなのです。
○ 任意整理における債務の減額報酬:10.8%
○ 過払金回収報酬(裁判外):21.6%
○ 過払金回収報酬(裁判):27%
ですから、司法書士に依頼しても、弁護士に依頼しても、弁護士費用・司法書士報酬が同じになるケースは多々あります。
■知り合いに、「司法書士でも140万円以上の案件もやってくれた」って話を聞いたのですが。
これもよくある誤解なのですが、司法書士ができないのは、140万円を超える民事事件の和解・代理です。これに違反した場合は非弁行為となります。和解や代理行為は、本来弁護士の業務ですが、「訴額が低い140万円以下の事件については、法務省の認定を受けた司法書士(認定司法書士)ならやらせてもいいだろう」ということになっています。
ただし、司法書士の中には「本人支援」という名目のもと140万円を超える事案についても裁判所に提出する書類等の作成を行なっているケースがあります。しかしこれはあくまで「本人訴訟」つまり自分自身で裁判を起こすための訴状を司法書士に書いてもらうだけですから、裁判自体は自分で対応しなければなりません。交渉の窓口も全部自分です。
本来であれば依頼を断って弁護士にアシストすべきところですが、司法書士もビジネスとしてやっていますから、依頼された以上はできる限り自分の事務所で完結しようとしてきます。
ですが、このようなケースでは司法書士は相手方と交渉をしたり、代理人となって裁判に出たりする事はできませんので、司法書士に書類だけ作ってもらえばできるような、ごく単純な事案でなければ結局弁護士に依頼しなければ解決できないことになるでしょう。
■弁護士なら、納得できるまで徹底的に戦える。
司法書士に任意整理や過払金返還請求を依頼した場合、司法書士が対応できるのは、簡易裁判所までです。例えば訴額が140万円以下だとしても、債権者側が簡易裁判所の判断に異議を申立てて控訴すれば、司法書士はもう対応できません。そのため過払金返還請求を司法書士に依頼すると、ほとんどのケースで、裁判外の任意交渉によって解決しようとします。つまり、司法書士にははじめから債権者側と裁判までやろうなんて思っていないのです。そしてそれを債権者側も理解しているのです。
そうなるとケースによっては、裁判外で和解を成立させるために、ある程度債権者側の言い分をのむ必要が出てくるのです。つまり、あなたからすれば「妥協」しなければならなくなる恐れがあるのです。もちろん、和解するには一定の妥協点は必要になりますが、訴訟をしていればこちらの主張が通る可能性が高いような状況でも、司法書士が裁判を避けるあまり、債権者側から提示された条件をのむよう、依頼者を説得する可能性があるのです。
その点、弁護士はどのようなケースでも最後まで戦う「資格」が与えられていますから、そう簡単に債権者の言う通りに妥協する必要はありません。納得いかなければとことん戦う事が出来ますし、戦う事によってより回収額が増える可能性もあります。
そしてその権力が、過払い金返還の交渉において、強い威力を発揮するのです。債権者側としては、訴訟となればそれなりに費用がかかるため、弁護士に提訴されるのをさけるため、債権者側が妥協する可能性が高まってくるのです。
ですので、金額が低くてかつ多重債務状態でないような単純な事案であれば、司法書士でも良いと思いますが、自分自身で状況がよく把握できていなかったり、債権者側と揉めたりしそうな場合は、迷わず弁護士に依頼する事をお勧めします。
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