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債務整理手段の1つに「自己破産」があります。一般的な認識では、自己破産をすると「財産を差し押さえされる」と考える人も多いです。しかし、実際には差し押さえが必要ない「自由財産」もあります。
ここでは自己破産の説明からはじめ、差し押さえについて、また自由財産についての解説をします。自己破産を検討している人は、詳しく確認をしておきましょう。
■自己破産における2つの手続き
自己破産とは債務整理手段の1つで、裁判所を通じて借金の一切をなくす手続きを言います。この手続きは「管財事件」と「同時廃止」の2つがあります。これらの手続きの違いを説明します。
管財事件とは?「財産を持つ場合の手続き」
管財事件とは、価値のある財産を持つ場合に取られる自己破産の手続きです。もしくは、浪費やギャンブルなどの免責不許可事由に当てはまる場合に行うこともあります。
管財事件では、裁判所より破産管財人が選任されます。そして管財人が破産希望者の財産を調査、管理、換価処分をして、それを債権者に公平に配当します。その後、裁判所より免責許可決定が下ります。
ただし、管財事件では全ての財産が処分されるわけではありません。この処分されない財産を「自由財産」と呼びます。詳しくは後述します。
なお、管財事件の場合は1年以上の手続きが係ることも珍しくありません。また、破産費用も高額になりやすいです。
同時廃止とは?「財産を持たない場合の手続き」
同時廃止とは、財産を持たない破産希望者に取られる自己破産の手続きです。処分できる財産を持たないことから、「破産申立」と「免責許可」が同時に行われます。そのため、「同時廃止」と呼ばれます。
なお、同時廃止の場合は、自己破産までの手続き期間が短く、数か月で完了します。また破産費用も比較的少なくて済みます。
■管財事件で「処分される財産」と「されない財産」
管財事件では破産希望者の財産を差し押さえて、それを破産財団に帰属し、換価処分をすることになります。ただし、全ての財産が処分されるわけではありません。そこで処分される財産と、されない財産の違いについて見ていきます。
処分される財産とは?
管財事件で処分される財産とは、破産財団に帰属する財産のことです。こうした財産は裁判所に差し押さえされ、破産希望者が自由に管理・処分できません。
この財産には例えば自動車などの動産や、住宅、土地などの不動産が含まれます。また、現金や預貯金、証券などの無形財産も処分されるでしょう。そのほか、ノウハウなど換価できるものは処分対象になっています。このように管財事件で処分される財産は幅広いです。
ただし、全ての財産が処分されるわけではありません。なぜなら、自己破産は「破産希望者の更生」が目的であり、全ての財産を処分してしまうと、その目的に沿わないからです。したがって、処分されない財産(自由財産)を除く財産が、処分される財産となります。
処分されない財産(自由財産)とは?
処分されない財産(自由財産)とは、破産財団に帰属しない財産のことをいいます。自己破産後に破産者が更生するために必要な、最低限の財産が該当します。具体的には破産法によって決められており、例えば下記のような財産が当てはまります。
(1)新得財産
新得財産とは、自己破産の手続き開始決定後に取得した財産のことを言います。動産・債権等の種類に関係なく、新規で取得したものは自由財産として見られます。
(2)差押禁止財産(動産・債権)
民事執行法によって差押禁止財産が定められています。差し押さえが禁止されている動産には、食器棚や冷暖房器具などの家具・家電があります。また、生活に必要な衣類、仕事に必要な工具なども差し押さえが禁止されます。
差し押さえが禁止されている債権には、電話加入権や、見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金などが該当します。これらの財産は破産財団に組み入れてはなりません。
(3)99万円以下の現金と、20万円以下の預貯金
自由財産には「99万円以下の現金」も含まれています。ただし、このお金は所持している必要があります。
なお、「預貯金は20万円以下」に限り、自由財産として扱われます。自己破産手続き開始前に口座から引き出している場合には、自由財産として認められない場合もあるので注意が必要です。
(4)破産管財人によって放棄された財産
破産手続きにおいて破産財団に組み入れられたにもかかわらず、管財人によって放棄される財産があります。こうした財産には、例えば処分費用が高額になる、売却価値がないなどです。こうした換価処分が困難、もしくは不可能な財産も自由財産として扱われます。
(5)その他の例:自由財産拡張の申立が認められた財産
例えば、自動車の場合、自動車ローンが残っておらず、初年度登録から7年を経過し、かつ時価20万円以下の自動車であれば、自由財産拡張の申立が認められると手放さなくて済むようになります。(裁判所によって異なるケースもあります)
■自己破産前には弁護士へ相談する
自己破産は、破産者自身でも手続きできます。しかし、手続きが煩雑であったり、免責許可を受けるのが大変だったりと問題もあります。そこで自己破産を検討している人は、まずは弁護士に相談すべきです。弁護士に相談をすると次のような優位点があります。
少額管財事件にできる
弁護士が代理人として破産手続きをすると、「少額管財事件」にできる可能性があります。少額管財事件とは、通常の管財事件よりも手続きを簡素化・迅速化した制度です。その結果、破産費用が30万円程度で済み、数か月で免責されます。
なお、弁護士でないと少額管財事件の手続きが行えません。また、全ての裁判所で少額管財事件を運用しているわけではありません。この点には注意が必要です。
書類作成等を代理で行ってくれる
弁護士に依頼をすると、破産申立などの書類作成を行ってくれます。一般の人は法律の知識等が乏しいため、書類作成だけでも多くの時間がかかります。そこで弁護士に依頼をすれば、書類作成を代理で行ってくれます。
結果として、破産者は仕事や家事を行いながら、借金の免責手続きを済ませることができます。
免責許可までの期間が短い
弁護士に依頼をすると、破産手続きで必要なノウハウなどを受けられます。また、即日面接と呼ばれる制度を利用できることもあり、通常よりも素早く手続きが開始できます。したがって、弁護士に依頼した方が免責許可の可能性が高く、期間も短くできます。
他の債務整理手段を提案してもらえる
多重債務などの借金を負うと、債務者は「残された手段は自己破産しかない」と思いがちです。しかし、債務整理手段には任意整理や個人再生などもあります。こうした手段であれば住宅や自動車などの財産も守ることが可能です。そのため、なるべく早くに弁護士に相談をして、本当に自己破産が最適な手段かを確認するといいでしょう。
■まとめ:自己破産を検討するなら、早期に弁護士相談を
自己破産と差し押さえ、また自由財産について見てきましたがいかがでしょうか。自己破産とは言ってもメリットもあります。多くの方が思い込んでいるような他の人に知られるケースも少なく、また年金や生活保護もストップすることはありません。住民票や戸籍も変わりませんし、パスポートも取れます。もちろん選挙権もあります。そして、生活に必要な最低限の自由財産も保障されているのです。
自己破産をするなら、なるべく早く弁護士に相談をして、破産手続きをするべきです。なぜなら、弁護士に相談をすれば、結果として破産費用を安くできたり、スムーズに進めることが出来たりするからです。また、他の債務整理手段を提案してくれる可能性もあります。何より精神的な安心感もあります。
借金苦で自己破産を検討している人は、まずは弁護士に相談をしてください。
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