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■借金で滞納!督促!自己破産するしかないのでしょうか?
自己破産の手続きは、何かと複雑で、インターネットで検索して出てくる文章を読んでもイマイチピンとこない、という人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、具体的な自己破産ケースを例に挙げて、その特徴などについて解説したいと思います。
〇自己破産のモデルケースその1:クレジットカードで多額の借金を作ってしまったXさんの場合
事例:私は浪費癖があり、たびたびクレジットカードの分割払いなどで高額な商品を買ってしまいます。それでも仕事をしているのでなんとか毎月の返済は可能なのですが、今回、勤務先が倒産してしまい、完全に収入がなくなってしまいました。自分自身が40歳を過ぎており、再就職の目処もたっていません。
すでにカード会社への返済が遅れ始めています。(200万円程度の借金が残っています。)どうしたらいいでしょうか。
自己破産で比較的多いケースが、いわゆる「カード破産」してしまう人です。カードを使って多額の借金が出来てしまった場合、まずはいきなり自己破産を考えるのではなく、「任意整理」という方法も可能な場合があります。任意整理とは、弁護士が債務者の代理人となって債権者であるカード会社側と借金の残債務の一部免除、利息のカット、返済期間の延長などの交渉をして、借金の返済計画を立て直す事です。
但し、任意整理は本人に返済能力がある事が前提ですから、仮に仕事をクビになっていたりして、収入にあてがない場合は自己破産を選択するしかないでしょう。
ちなみに、今回のケースは、Xさんの収入が完全にたたれていますし、今後すぐに収入を確保できる目処がたっていないため、方法としては任意整理ではなく自己破産となります。
このようなケースでは、債務者側にめぼしい財産がない事が多いため、「同時廃止」となることが多いでしょう。
なお、クレジットカードを使って購入した商品を安く転売して換金したような場合は、「免責不許可事由」に該当する恐れがありますので注意しましょう。
(「同時廃止」や「免責不許可事由」の意味については、こちら:『自己破産』に関する専門用語が多すぎる!簡単に教えて!)
〇自己破産のモデルケースその2:会社が倒産したことで自己破産を余儀なくされたYさん
事例:私は不動産会社を経営していましたが、リーマンショックのあおりをうけて、この度会社が倒産に追い込まれてしまいました。中小企業のため、会社の運営資金として銀行から融資を受ける際に連帯保証人になっています。この場合、私はどうなるのでしょうか?
経営している会社が倒産した場合は、通常その会社の代表者、つまり社長も、会社とともに自己破産をするケースがあります。
本来、会社は法人で社長は個人、よって基本的には別人格ですから、会社が破産したからといって、当然にその債務を社長が引き継ぐわけではありません。
けれども、中小企業の場合は、銀行から融資を受ける際に、社長個人が連帯保証人になっていることがほとんどです。そのため、会社が倒産した場合は、会社の破産手続きだけをしても、社長の保証人としての債務は消えません。そのため、会社がかかえた多額の負債を社長個人が背負わなくてもいいように、社長個人の自己破産手続きが必要になります。
社長個人の自己破産手続きについては、一般人の自己破産と同じですが、社長などの経営者が自己破産する際には、債権者となる多くの取引先が控えていますので、債権者集会を開いた際に怒号などが飛び交う可能性はあります。そのため、社長などの経営者が自己破産をする際には、会社の破産手続きと合わせて弁護士に依頼しましょう。弁護士を立てれば債権者集会においても、依頼人をしっかりと守ってくれます。
なお、破産の申立てをする直前に特定の取引先のみに返済を行う「偏頗弁済」を行ったり、社長個人の財産を近親者の口座などに逃がすなどして隠したりした場合は、「免責不許可事由」に該当するため、免責が受けられなくなる可能性があります。予め注意しましょう。
〇自己破産のモデルケースその3:財産がありそうでなかったZさんのケース
事例:私は大学卒業後、就職はせず、親からもらったお金を元手に投資やビットコインを使ってお金を増やしていました。一時期は順調に進み、資産を管理するために、国内と国外それぞれに資産管理用の法人も設立しました。けれども、マウントゴックスの破綻により、貯めていたビットコインが泡と消えてしまい、私は全てを失いました。この場合、私はどのような流れで破産になるのでしょうか。
自己破産のおよそ9割はケース1のXさんのように同時廃止、つまり、破産手続きが開始したと同時に、破産手続きが廃止されますが、稀に破産手続きが開始したあとに破産手続きが廃止される場合があります。
例えば今回のZさんのケースのように、特殊な取引などで資産を形成していたり、税金対策や資産管理などを目的とした法人を形だけでも設立していたりする場合、外見上は一般個人と違い何かしらの財産がありそうに見えます。そのため、裁判所としては同時廃止ではなく一旦は破産管財人を選任して本人の財産調査などを開始します。
けれどもふたを開けてみたら、お金になりそうな資産は全くなく、これ以上手続きを続けても、破産管財人の費用すら支弁することができないことが明らかになった場合、あとはやるだけ無駄ですから「異時廃止」となります。同時廃止と違って、一旦は「破産管財人」が選任されるため、手続き的には時間がかかります。
一般の方が自己破産をする場合のほとんどは、ケースその1のXと同じように「同時廃止」となりますが、経営者の方や、借金返済に充てられそうな財産がある人の場合は、破産管財人が選任されたり、場合によっては異時廃止になったりします。
自己破産手続きには、ケースによってさまざまな書類を準備しなければならないため、まずは弁護士に相談しましょう。
借金を抱えることで、当然のことながら滞納による督促など、精神的にも多大なストレスを抱えることになります。それに付け加えて様々な手続きとなると、とてもではありませんが専門的な知識のある弁護士無しにトラブル無く対処することは難しいでしょう。
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