目次
債務整理について相談しようと思い、インターネットで専門家を検索すると、多くの弁護士事務所が表示されると同時に、司法書士事務所も一緒に表示されてきます。それぞれのサイトを見てもイマイチ違いが分かりません。
そこで、弁護士と司法書士、どっちに依頼をしたらいいのか、この際はっきりさせましょう。
■司法書士の存在意義とは
そもそも司法書士って何をするお仕事なのか、一般の方はあまりご存じないのではないでしょうか。司法書士という職業が存在する意義は、「弁護士がカバーしきれない業務範囲を補完する」ことです。
弁護士といえば、あらゆる法律業務をこなす事が法的に認められている、日本で唯一の資格です。これは皆さんご存知かと思います。
これに対し司法書士とは、世にいる弁護士だけでは手が回り切らない法律業務について、弁護士に代わって行なう事ができる職業なのです。ですから、自ずと司法書士が業務としてできる範囲は、弁護士業務よりも限定的になります。司法書士の目的はあくまで「弁護士業務の一部の補完」だからです。
■司法書士の専門分野は、「登記」
司法書士によって個人差はありますが、司法書士の中心業務は「登記」です。登記には不動産登記と、商業登記がありどちらも司法書士が対応できます。もともと登記自体は弁護士が業務として行なう事ができるのですが、非常に手間がかかる上に、必要書類の収集や確認等、その分野に特化したかなりの専門知識が必要となります。あらゆる法律業務を扱える弁護士にとって、あえて面倒な登記業務を行なう必要はないため、その部分を専門に勉強した「司法書士」というスペシャリストを作ったのです。
ですから、もともと司法書士は登記の専門家なのです。これは、司法書士試験の試験範囲をみればよくわかる事です。
■弁護士と司法書士の違いは、扱う金額の大小
司法書士が債務整理において扱う事ができる金額は、140万円までです。例えば過払金で元本140万円を超えている場合は、弁護士でなければ代理人となって交渉する事が出来ません。ここが最大の違いです。例えば借金の総額が少ないのであれば、司法書士でも弁護士でも大差はありません。ただ、借金問題で困っている人というのは、140万円を超えているケースが多いはずです。ですから多額の借金返済を考えている方は弁護士に依頼するしかありません。
■任意整理は交渉力がポイント 強いのは弁護士か司法書士か
任意整理とは、ごくシンプルにいうと、債権者側に対して、
「債務者が自己破産すると債務が回収できなくなるから、それだったら条件を緩和した方がおたくにとっても良いのではないですか?」
という交渉をする事です。
具体的には、
○ 将来利息のカット
○ 債務残高の減額
○ 返済期間の延長
○ 過払金返還請求
などがあります。
これを債権者である貸金業者側から見ると、弁護士から交渉されるのと司法書士から交渉されるのとでは、かなりプレッシャーに違いが出ます。つまり、債権者は司法書士よりも弁護士のほうが怖い、ということです。
司法書士の場合は、一応は簡易裁判所管轄の業務権限はありますが、実際のところ控訴してしまえばそこからは対応する事ができないため、実質的に司法書士は裁判を望んでいません。これに対し弁護士は要求が通らなければすぐにでも訴訟を起こす構えで交渉しますから、自ずと債権者側から提示される和解案にも差が出てくるという事なのです。
■大切な事は、司法書士の限界ラインを理解しておくこと
弁護士と司法書士で、どっちが強いかを考える事ではなく、「司法書士はどこまで対応する権限があるのか」をしっかりと理解しておく事が何より大切です。なぜなら、司法書士は自らその業務限界(業際と言います)を依頼人に言わないケースがあるからです。司法書士もビジネスとしてやっていますから、基本的には依頼人を安心させて、全部自分のところで売り上げを上げたいと考えます。ですから、140万円を超えるような案件でも「本人支援」などという方法で、非弁行為(弁護士法違反)スレスレで、なんとか自分のところで処理しようとするケースも見受けられます。しかし、そのような案件は本来弁護士が対応すべきものです。
この辺りの判断は依頼人であるあなた自身が自分で知っていないと誰も教えてくれないのです。基本的には、なんでも対応できる弁護士に依頼する方がおすすめですが、もしも司法書士に依頼する場合は、その点を十分に注意しましょう。
◆越谷市内の方へ (新越谷/南越谷駅周辺の地図など) |
◆春日部・草加・川口など周辺エリアの方へ (越谷市外からのアクセス) |