昨今、携帯電話、特に、スマートフォン(以下「スマホ」といいます。)は、非常に便利で、普及率自体増加傾向にあり、今や私たちの生活の必需品であると言っても過言ではありません。
そのため、自己破産を検討するにあたり、破産したらスマホは持てなくなるのではないか、という点について不安を抱く人も多くなっているようです。
そこで、今回は、自己破産とスマホの利用について解説します。
目次
1.現在使用しているスマホの使用継続について
1−2.利用料金と機種代金
そもそも、スマホの利用に関する料金は、主として、利用料金と機種代金の分割金の2種類に大別されます。
これらの料金は、一緒にまとめて請求されるため普段区別して考えることはありませんが、破産手続との関係では区別して考えることになります。
①利用料金と機種代金の残債務のない場合
現在使用しているスマホの利用料金と機種代金の双方について残債務のない場合には、基本的に、自己破産する場合でも、現在使用しているスマホは、継続して使用できます。
利用料金と機種代金の残債務のない以上、自己破産する場合でも、携帯会社との契約を強制解除されることはありません。
また、破産者の保有する20万円以上の価値のある動産は、破産手続において強制的に処分される可能性がありますが、通常、中古のスマホは20万円以上の価値はないでしょう。
なお、機種代金の残債務のない場合というのは、現在使用しているスマホを一括支払により購入した場合や分轄金の支払を完了していることを意味しており、たとえ毎月機種代金の分割金の支払を滞りなく履行している場合でも、分割支払の残っている場合は、残債務のある状態であるため、破産手続の対象になることに注意して下さい。
②利用料金と機種代金の残債務のある場合
次に、利用料金と機種代金の残債務のある場合、自己破産を決意して弁護士に依頼して以降、その支払は禁止され、破産手続により残債務は免責されることになります。逆にいえば、携帯会社としては、契約者の契約上の義務の不履行を理由に契約を強制解除できます。
これにより、破産者は、現在使用しているスマホを使用できなくなるのです。
2.残債務のある場合でもスマホの使用を継続する方法
2−1.残債務を完済する方法
①残債務の返済は原則として禁止
利用料金と機種代金に残債務のある場合、これを完済して、契約上の義務の不履行の状態を解消することにより、携帯会社から強制的に契約解除されることを回避できる可能性があります。
しかし、破産の手続きでは、他の債権者との公平・平等を確保するため、特定の債権者に対してだけ債務を弁済する行為は、偏頗弁済(へんぱべんさい)として禁止されており、このルールに違反した場合には、最悪、免責不許可になる可能性があります。
そのため、原則論としては、スマホの継続使用のために携帯会社だけに債務の弁済を行うことはできません。
②少額の利用料金の残債務の返済であれば許容される
もっとも、実際には、少額の利用料金の残債務の返済であれば、公共料金の滞納の解消と同様に今後の生活のために必要になる最低限の支払であるとして、その必要性と相当性に鑑みて、許されることが多いです。
他方、機種代の残債務については、単純にスマホという商品の分割購入の残債務に過ぎませんから、利用料金と同じように扱うことはできません。
ちなみに、機種代金の分割債務は、自己破産の申立により、期限の利益喪失つまり分割の利益を失うため残金一括請求される可能性があります。
③家族などの第三者に返済してもらう方法
先ほど登場した偏頗弁済の禁止は、あくまでも破産者の財産から特定の債権者に弁済する行為を禁止する趣旨であり、家族などの第三者の財産から弁済する行為自体は禁止されていません。そこで、どうしても現在使用しているスマホを継続して使用したい場合には、家族などの第三者により代わりに完済してもらう方法を検討することになります。
ただし、この場合には、代わりに債務を返済した者は、破産者に対して、その返済額につき、請求できる権利を取得しますから、これは、基本的に、破産手続の対象としなければならないことに注意しましょう。
要するに、破産する以上、法的には代わりに債務を返済してくれた者に対する返済義務(求償債務)は残らないことになるということです。
2−2.携帯会社と継続使用について交渉する方法
利用料金の残債務高額あるいは機種代金の残債務のある場合には、第三者に完済してもらう以外には現在使用しているスマホを継続して使用することは、難しいでしょう。
もっとも、そのような場合でも、携帯会社との交渉することにより、継続使用を認めてもらえることがあります。ただし、利用料金の残債務のある場合には、継続使用を認めてくれることはないでしょう。
携帯会社との交渉の道も閉ざされてしまえば、利用料金及び機種代金の未納等を理由として、遅くとも未納の時点から3カ月以内には、契約は強制解除されることになるでしょう。
3.携帯会社と新規契約する手段
自己破産に伴い携帯会社からの契約解除を免れない場合には、現在使用しているスマホの返却は求められないものの、手元に残るスマホを従前のように使用することはできません。
そこで、別の携帯会社と新規に契約を結んで新たなスマホを使用することにより対応します。
このとき、別の携帯会社と契約する場合には、2つの点に注意しましょう。
1つは、利用料金未納のある場合には、携帯会社は、その情報を共有しているため、別の携帯会社から新規契約を断られてしまう可能性があります。ただし、未納の利用料金の支払債務について破産手続により免責を得ていれば、未納の情報は消去されるため、破産手続終了後に新規の契約を行うことができます。
もう1つは、別の携帯会社との新規契約と新たなスマホの分割購入ローン契約は別であり、機種の分割購入については通常の物品の分割購入同様、信用情報に事故情報のある場合は審査に落ちる可能性があります。
自己破産の情報は、信用情報として10年保存されますから、破産後、新規契約はできる場合でも、機種は一括購入するしかない場合が生じ得ますから注意しましょう。
なお、時折、破産することにより、携帯電話の使用継続のできなくなった場合において、第三者の名義の携帯を使用させてもらう方法により対処される方がいますが、このような行為は、携帯会社との契約における違反行為であることに加え、後にトラブルの発生するリスクを伴いますから控えてください。
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以上のとおり、スマホの利用料金に未納のある場合には、少額であれば未納の解消により契約解除を回避できますが、利用料金の高額の未納のある場合や機種代金の残債務のある場合については、第三者に代わりに完済してもらったり、携帯会社と交渉したりするなどして、例外的に契約解除を回避しない限り、破産するとなれば、現在使用しているスマホの継続使用は困難です。
そのため、新たな携帯会社と新規に契約するなどの対応をしなければなりません。
自己破産に伴うスマホの継続使用の問題は、複雑かつ判断の難しい問題を含んでいますから、生活必需品であるスマホの使用を迅速かつ適切に継続できるために破産の手続を検討する際には、その点についても、弁護士に相談して、しっかりと方針を決めるようにしましょう。
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