『特定調停』とは？短期間で借金解決って本当？デメリットは？

借金問題を解決する方法の一つに「特定調停」という手続きがあります。特定調停は、債務者自身で手続きをすることができるため、弁護士に債務整理を依頼するよりも費用を低く抑えられるといったメリットがありますが、実は詳細を知らずに安易に特定調停を利用すると、結果として弁護士に依頼した場合よりも不利益を被る危険性があるため注意が必要です。

そこで今回は、詳細をあまり知られていない特定調停について、ポイントを解説したいと思います。

■特定調停ってどんなこと？

特定調停とは、裁判所が債務者と債権者の間に入って中立的な立場で借金問題が解決するよう意見調整をしてくれる手続きです。

任意整理の場合は債権者との間に裁判所ではなく「弁護士」が介入しますが、弁護士はあくまで中立的な立場ではなく、依頼人である債務者の「味方」として債権者と交渉してくれます。

これに対し特定調停の場合、間に入る裁判所はあなたの「味方」ではなく、あくまで中立的な立場で対応しますので、弁護士のようにあなたの考えや希望を代弁してくれるわけではありません。また、特定調停は借金の返済計画を見直して３年程度で分割完済できることが前提となります。そのため、今現在収入のあてが無い人は、特定調停ではなく弁護士に依頼をして自己破産によって解決する必要があります。

■そもそも特定調停ってどのくらいの人が利用しているの？

統計データによると、２００４年当時の特定調停の利用は年間３５万件以上あったのに対し、２０１０年にはなんと５万件にも満たない件数にまで減ってしまいました。その原因は、特定調停の「難しさ」にあります。

もともと特定調停は、借金問題に困窮している債務者を経済的に立て直して再生させるための手続きで、２０００年から導入されましたが、特定調停の利用者が激減したのには、具体的につぎのような問題があったからなのです。

〇特定調停はやるだけムダ！？ほとんど調停は成立しない。

先ほどの統計データによると、特定調停の申し立て件数に対して成立した件数はなんと全体の約３％程度なのです。つまり、申し立てを行った特定調停の約９７％は不成立、つまりムダに終わっているのです。これはあまりにも低い数字であり、いくら費用が安く済むからといって安易に特定調停をオススメできる数字ではありません。

〇特定調停のメリット

特定調停のメリットは、ズバリ「弁護士に依頼するよりも費用が安く済む」これに尽きるでしょう。一部のサイトに「手続きが速い」「時間がかからない」というメリットが書いてありますが、確かに申し立てしてからは比較的早く進み一ヶ月程度で決着がつきますが、本当に大変なのは申し立てをする「前段階」です。

特定調停を申し立てるには、債権者とそれに応じた借金の明細がわかる書類を自分自身で作成しなければならず、これが素人にとっては非常に大変で申し立てをするまでに時間がかかることになります。

ちなみに、特定調停でも債権者からの取立てをストップできますが、この面倒な申し立て手続きをした後になりますので注意が必要です。つまり、取立て真只中で、自分で書類作成をし、提出しなければならないのですからメリットは少ないと言えるでしょう。

〇特定調停のデメリット

残念なことにデメリットはちょっとあげただけでも、こんなにたくさんあります。

• 過払い金返還請求ができない（別途、過払い金返還請求訴訟を起こす必要があります）
• いわゆるブラックリスト（個人信用情報機関）に載る。
• 特定調停が成立すると執行力をもつ。

特定調停は、裁判ではありませんがもしも成立すれば、それは判決と同等の法的効力があります。ですから、債務者の返済が滞った場合は、債権者は裁判を起こすことなく、直ちに強制執行、つまり給料や銀行口座を差し押さえることができる力を得てしまうことになるのです。

このように、特定調停は費用が低く抑えられるものの、素人が安易に利用すると特定調停が不成立となって手続が無駄になってしまったり、自分にとって無茶な返済計画で成立させてしまったりして、かえって債務者が不利な状況に追い込まれるといった大きなリスクを伴います。

そのため、このような状況で利用すべきは特定調停よりも弁護士を利用した任意整理を断然オススメします。確かに弁護士報酬は必要にはなりますが、それ以上に債務者にとっての経済的利益が大きいはずです。もしも特定調停か任意整理かで悩んでいる場合は、まずは一度、当事務所までご相談ください。

特に埼玉県越谷市周辺の方であれば、アクセスも便利な南越谷駅から歩いてすぐです。春日部・川口・草加・吉川・三郷・八潮の各市や東京都足立区からもご相談を受けたまわります。