目次
○過払い金の利息について
過去に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していて、高額な利息を支払っていた場合には、「過払い金返還請求」ができる可能性があります。
過払い金返還請求する場合、なるべく多くの金額の返還を受けたいというのは当然のことですが、過払い金は単純に満額回収するだけではなく、さらに利息をつけて請求することができることをご存知でしょうか?
今回は、過払い金をなるべく多く回収したい場合に押さえておく必要のある「過払い利息」について解説します。
1.過払い金返還請求で請求できる金額
過払い金返還請求とは、過去に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた場合に、払いすぎた利息を取りもどすことができる手続きのことです。
人にお金を貸し付ける際には利息を取ることが通常ですが、このとき請求できる利息については利息制限法という法律によって上限が定められています。
ところが、過去(平成20年頃以前)には、多くの消費者金融やクレジットカード会社が利息制限法の定める上限利率を超過する高い利率で貸付をしていました。
ただ、最高裁判所の判断により、そのような高額な利息を支払う義務はない、ということになったので、利息制限法を超過して払いすぎた利息は取りもどすことができるようになりました。このように、「払いすぎた利息」が過払い金の正体であり、過払い金返還請求とは、払いすぎ利息を相手業者に対して返還請求する手続きです。
実際に、100万円や200万円以上の金額の過払い金が発生することもあります。
しかし、過払い金がいくら発生しているかという問題と、いくらの過払い金を回収できるかという問題は別です。
過払い金請求をする場合、必ずしも満額を回収出来るとは限らないのです。
むしろ、多くのケースでは、発生した過払い金の8割やそれ以下の金額の回収しかできていない現状があります。
2.過払い金返還請求で全額請求できない理由
過払い金が発生しているなら、どうして全額請求できないのか?と疑問を感じる方がいるでしょう。このことは、過払い金の回収手続きと関係があります。
過払い金請求を行う場合、まずは相手業者に対して任意での返還を求めて、話合いによって過払い金の回収を行います。
このとき、請求者側は当然過払い金の金額を計算して満額の請求をしますが、相手業者は満額の返還に応じることは少ないです。たいてい「経営状態が苦しい」「任意では〇割が限度」などと言って、減額を求めてきます。
そして、交渉を継続しても、全額の支払いをする業者はほとんどありません。どうしても全額回収にこだわるなら、過払い金請求訴訟(裁判)をしなければならなくなります。
そうなると、手間も時間も費用もかかることから、多くの請求者が妥協をして、満額回収をあきらめて和解をしてしまいます。このような理由により、多くのケースでは過払い金は満額回収されていません。中には、5割以下の金額で和解している例もあります。
3.過払い利息とは?
過払い金返還請求をするなら、なるべく多くの金額を回収したいと考えるのが当然です。
ここで、過払い金には「過払い利息」がつきます。過払い利息というのは、過払い金につく利息のことです。
過払い金は、法律上は、「不当利得」になります(民法703条)。
不当利得とは、法律上の原因なく利得を得た場合の利得分ですが、悪意の受益者(不当利得であることを知りながら利得した場合)は、利息をつけて返還しなければならないことになっています。
ここで、貸金業者は、利息制限法を超える高利率であることを知りながら貸付をしていたわけですから、通常「悪意」であると認められ、過払い金請求を行う場合には、過払い利息をつけて返還請求ができるのです。
このときに適用される利率は「民事法定利率」で、具体的には年5%となります。
そこで、過払い金返還請求をする場合には、過払い金が発生したときから年5%の割合の過払い利息をつけて請求することが可能です。
4.過払い利息を請求する方法
過払い金には年5%の過払い利息をつけて返還請求することができますが、過払い金が発生する取引は平成20年頃までしか行われていないため、現在までの過払い利息を計算すると9年以上もの利息がつくことになり、利息だけでも相当な金額になっているケースも多いです(平成29年の時点)。
それでは過払い利息はどのようにして請求すれば良いのでしょうか?
この場合、過払い金の元本を請求する場合と同様、まずは相手業者に対して過払い金請求書を送り、任意で過払い利息をつけた過払い金の返還を求める手続きが基本です。
しかし、上記でも触れたとおり、業者側は、任意交渉では、過払い金の元本すら全額返還に応じません。まして、過払い利息の返還にまで応じてくれることはほとんど皆無、と言っても過言ではありません。
そこで、過払い利息を請求するためには、過払い金請求訴訟を起こす必要があります。
過払い金請求訴訟では、当然法定利息の年5%分をつけて請求することができます。
裁判で判決が出ると、相手業者に対して年5%の過払い利息をつけて、過払い金全額の支払い命令が出るので、その内容にしたがって相手業者から「過払い金満額+過払い利息5%」の支払いを受けることができます。
ただし、判決が出ても相手業者が支払いをしない場合には、相手業者の財産を差し押さえることによって過払い金を回収しなければならないケースもあります。
5.過払い利息を請求したい場合の事務所選び
過払い金請求をする場合には、請求者本人が自分一人で手続きを進めるのは難しいです。
訴訟を利用せずに相手に対して直接過払い金の返還を求めるケース(任意交渉のケース)であっても、請求者が自分で交渉をすると、不利になってしまうことが多いです。請求者は素人ですし、法律知識などもないため、どうしても業者が優位な状態で話を進められてしまうためです。
そこで、過払い金返還請求をするときには弁護士や司法書士に依頼する必要が高いですが、このとき、どのような弁護士事務所でも良い、ということにはなりません。
特に過払い金の満額回収や、5%の過払い利息の請求までも行いたい場合には、依頼する事務所を慎重に選ぶ必要があります。
過払い金の満額回収や過払い利息の請求を行うためには、相手業者に対する訴訟提起がほとんど必須となりますが、訴訟には手間も時間もかかるので、多くの弁護士事務所や司法書士事務所は、なるべくなら任意交渉のみによって過払い金返還請求事件を終わらせたいと考えており、過払い金請求事件を話合いによって解決しようするからです。
そうなると、過払い利息を請求することは難しくなりますし、過払い金の元本自体も満額返って来ないことがほとんどです。
もちろん依頼者自身が「どうしても訴訟をして過払い金満額と過払い利息を請求してほしい」と強く主張するケースにまで無理矢理任意交渉で減額和解してしまうことは少ないですが、依頼者が希望を伝えても「訴訟をすると時間も費用もかかりますよ。」などと言われて説得されてしまうことも多いです。
確かに、実際訴訟となると時間もお金も費用もかかるため、得られる過払い金や過払い利息から訴訟にかかる費用を差し引いて考える必要があります。また、すぐにお金が必要な場合は、訴訟をしているあいだ、資金を工面しなくてはならなくなります。ですから、総合的な判断は必要となるでしょう。
そこで、過払い利息を請求してなるべく多額の過払い金を回収したい場合には、訴訟に対して積極的な弁護士を選ぶ必要があります。
過払い金返還請求訴訟に対して積極的かどうかについては、当初依頼の際に、弁護士や司法書士に対して「過払い金返還請求を訴訟によって行う場合も引き受けてくれますか?」と聞いて確認する方法が基本ですが、当初は「やります。」と言っていても、弁護士は、実際に手続きがすすんでくると訴訟に及び腰になってしまうこともあります。
そこで、本当に訴訟に積極的かどうかの見極めが必要です。
これから過払い金請求訴訟をして過払い利息まで満額回収したいと考えている場合には、まずは訴訟に対して積極的な弁護士事務所を探して相談・依頼することをおすすめします。
○まとめ
今回は、過払い金返還請求訴訟で請求できる「過払い利息」について解説しました。
過払い金返還請求をする場合には、過払い金に年5%の過払い利息をつけて請求することができますが、過払い利息を請求する場合、任意交渉によって支払いを受けることは難しいので、過払い金返還請求訴訟を行うことがほとんど必須になります。
過払い金の満額を回収し、過払い利息の支払いを受けたい場合には、過払い金請求訴訟に対しても積極的な弁護士を探して依頼する必要があります。
また、弁護士とはよく相談し、費用面、時間の面も考慮した上で、過払い金の請求について計画を立てる必要もあります。
今後過払い金請求をしようと考えている方は、お早めに過払い金請求に積極的に取り組んでいる弁護士に相談することをおすすめします。その上で、必要な場合は過払い金返還請求訴訟を起こすことになるでしょう。
○エクレシア法律事務所で過払い金を確認しましょう
過払い金返還請求については、時効の問題もありますので、お早めに当エクレシア法律事務所までご相談ください。
そのうえで、過払い金がいくら発生しているのか計算し、必要に応じて過払い金返還請求訴訟を通して過払い金の返還を受けましょう。
当事務所では、債務整理をご検討の方のケースでも、もちろん過払い金の調査を行います。借金額の減額、場合によっては完済も可能なケースもあります。借金問題でお悩みの方はご相談にお越しください。お電話もしくはメールフォームより、ご予約いただけます。
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