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会社と代表者の破産で、混乱無く異時廃止で終了した事例

概略

会社が経営不振で代表者と共に破産を申し立て、会社の備品換価、個人の過払い金の回収で破産費用を工面し、混乱無く異時廃止で終了した事例

相談者

Aさん、60代、男性、会社経営

相談前

Aさんは、平成元年頃からサイディング工事を請け負う会社を経営していましたが、平成20年頃から、材料費の高騰、単価の下落等で利益が減少し始めました。売上を維持するため外注に頼ることになりましたが、その資金繰りのため金融機関から借入を増やしていく悪循環に陥り始めました。その後、外注への支払自体が経営を圧迫してきたため、外注依存の経営体質を変えて、一人で事業を続けることにしましたが、単価の下落は止まらず、また、金融機関への支払が滞り、このまま事業を続けても先が見えないことから、当事務所に相談に来られました。

相談後

担当弁護士が会社の財務状況を調べたところ、金融機関からの借入が700万円、買掛債務が350万円の負債状況に対して、売上が130万円、経費が100万円程度であったため、債務の返済にまで回せる余裕がありませんでした。さらにAさん個人が住宅ローンを抱えて、毎月10万円の支払がありましたので、家計が全く成り立たないことが判明しました。Aさんは、職人気質の方でしたので、備品や積立金を取り崩してでも最後まで事業を続けて、業者にも迷惑をかけないようにしようという気持ちをお持ちでしたが、担当弁護士は、これ以上事業を継続しても状況は悪くなるばかりなので、今のうちに破産を決意して再出発した方が良いことを説明しました。担当弁護士の説得で、Aさんは、冷静な判断ができるようになり、事業をたたみ、住宅も処分して、ゼロから再出発することを決意されました。買掛業者に状況を説明し理解を得られ、従業員もいませんでしたので、申立までトラブルもなく進みました。破産手続きでは、会社も個人も管財事件となり、Aさんに自由財産が99万円認められ、会社も個人も配当するだけの破産財団が形成されませんでしたので、債権者集会も混乱なく、異時廃止で終了しました。

弁護士からのコメント

会社の破産で事務所に相談に来られる方の多くは、真面目で仕事一筋の方で、Aさんもその代表的な方でした。Aさんは、破産で関係者に迷惑をかけることをとても心配しておられ、最後の最後まで努力したいというお気持ちが強かったです。しかし、破産すべきかどうかは、感情的な正義感を優先すべきではなく、このまま事業を続けていくとどうなるのか、その影響はどうなのかの冷静な判断を優先すべきことです。感情的な正義感を優先させると、破産のタイミングを逃すことがあります。たとえば、会社の破産を申し立てるにも、裁判所への予納金・弁護士報酬等の費用が必要になりますが、資産が底をつくまで事業を継続すると、破産費用も工面できず、申し立て事態ができなくなります。しかしAさんは、会社の自動車や積立金、Aさん個人の過払い金を迅速に処理した結果、200万円近い資金を捻出でき、破産申立の費用に充てることができ、費用面でもスムースに進められました。また、自宅は任意売却をすることで引越代やごみ処理代の費用を工面することができました。

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