連帯保証人に迷惑をかけずに債務整理･過払い金請求する方法

 

○債務整理で連帯保証人に迷惑がかかる？

借金問題に苦しんでいる場合、債務整理手続きをすると効果的に問題を解決することができますが、連帯保証人がついている借金がある人の場合、債務整理によって連帯保証人に迷惑をかけてしまうおそれがあります。このことが原因で債務整理に踏み切れず、借金問題に苦しみ続けている人がたくさんいますが、連帯保証人がいてもなるべく迷惑をかけずに債務整理する方法があります。過払い金請求する場合でも、連帯保証人に影響を及ぼさない方法もあるので、おさえておきましょう。

今回は、連帯保証人に迷惑をかけずに債務整理や過払い金請求をする方法を解説します。

 

1．連帯保証人とは

借金に連帯保証人がついている場合、債務整理をすると連帯保証人に迷惑をかけてしまうと考えて債務整理に踏み切れない人がいますが、これは本当なのでしょうか？

まずは、連帯保証人がどのような人なのかを抑えておきましょう。

連帯保証人は保証人の1種です。保証人とは、主債務者（借金した本人）が借金返済出来なくなった場合に備えて、代わりに借金返済義務を負う人のことで、1種の借金の担保です。

連帯保証人は、このような保証人の中でも特に責任が強められているタイプの保証人であり、債務者と同程度の返済責任を負います。

日本では、借金の保証人をつけるとき、ほとんどのケースで連帯保証人をつけますので、単に「保証人」という場合であっても連帯保証人を意味することが多いです。

 

2．連帯保証人がいる場合に債務整理するとどうなる？

連帯保証人がついている借金がある場合に債務整理をすると、連帯保証人にはどのような影響があるのかが問題になります。

連帯保証人がいる借金を債務整理手続きの対象にすると、債権者は連帯保証人に借金返済の請求をします。

連帯保証人は、主債務者が借金返済しなくなった場合にそなえているものなので、債務整理が行われたときは、まさしく連帯保証人に請求すべき場合だからです。

しかも、この場合、連帯保証人には借金残金の一括請求が行われることが多いです。

借金は、通常分割払いにしていますが、長期延滞すると、分割払いすることが許されなくなって残金一括払いをしなければならなくなります。このことを、「期限の利益喪失」と言います。

 

連帯保証人に請求が行われる段階というのは、通常主債務者が借金返済しなくなってから長期間が経過している場合が多いので、債務整理によって連帯保証人に対して請求される場合にも残金一括請求になってしまうのです。しかも、この場合、借金返済を遅延したことによって発生する高額な「遅延損害金」まで加算されてしまうことになります。

 

連帯保証人に対する借金残金の一括請求は、内容証明郵便などで届くことが多いので、債務整理することを事前に聞かされていなかった場合、連帯保証人宅に突然書留方式で内容証明郵便による請求通知が届いてしまうことになります。すると、連帯保証人は驚いてパニックになってしまったり、このことをきっかけにして、主債務者との人間関係が極度に悪化してしまったりすることがあります。

このように、連帯保証人がいる場合にその借金を対象にして債務整理をすると、確かに連帯保証人には多大な迷惑をかけてしまうことになります。

 

3．連帯保証人がいる場合に過払い金請求する方法

連帯保証人がいる場合にも、なるべく迷惑をかけずに債務整理をする方法があります。具体的には、過払い金請求をする場合と、その他の債務整理（借金残金の支払い問題を解決すること）する場合とで異なるので、以下では分けて解説します。

まずは、過払い金返還請求についてです。

 

3-1．完済後の過払い金請求なら問題は起こらない

まずは、過払い金請求をする場合について考えてみましょう。

過払い金請求とは、過去に消費者金融などとの間で、利息制限法を超過する高利率で取引をしていた場合に、その支払いすぎた利息を取り戻す手続きのことです。

だいたい平成20年頃以前に、消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた場合に過払い金が発生することが多いです。

過払い金請求をする場合、その借金に連帯保証人がついていたら、配慮が必要です。

過払い金請求をするパターンとして、借金の完済後に手続きする場合と借金返済中に手続きする場合があります。

 

まず、借金完済後に手続きするのであれば、特に連帯保証人に迷惑をかけることはありません。この場合、借金の残金がないので、過払い金請求をされても、債権者が連帯保証人に請求すべき借金がないからです。

よって、既に借金を完済している場合には、連帯保証人がついていたとしても遠慮なく過払い金請求をして大丈夫です。

 

3-2．残債が少ない場合には完済してから過払い金請求する

借金残金が残っている場合には、その借金に連帯保証人がついていたら、過払い金請求には慎重になる必要があります。この場合、見かけ上は借金残金が残っている状態ですので、まずは任意整理という形で債務整理手続きを開始することになります。

すると、債権者は、任意整理の手続きが開始された時点において、連帯保証人に対して借金の返済請求をしてしまいますので、連帯保証人に迷惑をかけることになります。

そこで、借金の残債が少ない場合などには、先に借金を完済してから過払い金請求すべきです。

そうすれば、連帯保証人に迷惑をかけずに債務整理をすることができます。

もし、どうしても完済前に過払い金請求をしたい場合には、事前に必ず連帯保証人に連絡を入れて、過払い金請求をしたいと言うことを相談しておく必要があります。

そして、過払い金が発生している可能性が高いことや、いったんは連帯保証人に請求が行われてしまうおそれがあること、過払いであることが判明したら借金返済の必要はなくなることなどを説明して、理解をしてもらってから過払い金請求手続きをするとトラブルを避けることができます。

 

4．連帯保証人がいる借金を外して任意整理する

次に、過払い金請求以外の債務整理手続きをする場合の対処方法をご紹介します。

先にも説明しましたが、連帯保証人がついている場合にその借金を対象にして債務整理をすると、債権者は連帯保証人に借金の支払請求をするので、連帯保証人に迷惑をかけてしまいます。そこで、連帯保証人に迷惑をかけずに債務整理をするには、連帯保証人がついている借金を対象にしない必要があります。

そのような工夫ができる債務整理手続きは、任意整理です。任意整理とは、債権者と直接交渉をして借金返済額と返済方法を決め直す手続きのことです。

 

過去に利息制限法を超過する利率での取引があると、借金返済額が元本ごと大幅に減額できますし、利息制限法を超過した取引がなくても、合意後の将来利息の支払いをカットしてもらうことによって、借金支払い総額を大きく減額してもらうことができます。返済期間を延ばして月々の支払額を抑え、何とか完済まで支払を継続出来るようにもなります。

 

このようにメリットのたくさんある任意整理ですが、任意整理の場合、裁判所を介さずに各債権者と個別に交渉をする手続きなので、特にどの債権者を対象にしなければならないという制限がありません。どの債権者を対象にして、どの債権者を外すかの決定は、債務者の自由です。そこで、連帯保証人がついている借金がある場合、その借金を外して他の借金だけを任意整理で整理することができるのです。

 

このようにすれば、債権者が連帯保証人に請求することはありません。連帯保証人がついている借金については、主債務者が自分でこれまでとおり返済を継続していくことになります。

また、利息制限法を超過した取引があって任意整理によって大きく借金が減額される可能性がある場合には、連帯保証人にその旨相談をして、早めに一緒に任意整理をすると良いです。そうすれば、同時に借金返済額を大きく減額出来ますし、減額された借金については自分で返済していけば連帯保証人には実質的に負担はないので、結果的に連帯保証人にもあまり迷惑をかけずに済みます。

 

5．個人再生や自己破産した場合の対処方法

連帯保証人に迷惑をかけたくない場合、任意整理によって他の借金だけを整理する方法が効果的ですが、任意整理では借金を整理仕切れないことがあります。任意整理の場合、利息制限法を超過した利率での取引がないと大幅に借金を減額することが難しいので、借金額が大きすぎる場合や、無職無収入、収入が少ないなどのケースでは、任意整理では借金問題を解決できないことがあるからです。

このように、任意整理では借金問題を解決できない場合には、個人再生や自己破産などの別の債務整理手続きを利用する必要があります。この場合、連帯保証人に迷惑をかけない方法がないのか、以下で検討してみましょう。

 

5-1．必ず連帯保証人には迷惑をかけてしまう

連帯保証人がついている借金がある場合に個人再生や自己破産をすると、ほとんど必ず連帯保証人には迷惑をかけてしまうことになります。

個人再生とは、裁判所に申立をして、借金返済額を大幅に減額してもらい、それを原則として3年間にわたって返済していく手続きのことです。

自己破産とは、裁判所に申立をして、借金返済義務を完全に0にしてもらう手続きのことです。

これらの債務整理方法は、裁判所を介した厳格な手続きであり、法律でその手続きや方法が定められています。

そして、このどちらの手続きにも「債権者平等の原則」がはたらきます。債権者平等の原則とは、すべての債権者を平等に取り扱わなければならないという原則です。

この原則があるため、一部の債権者だけを手続きの対象にしたり、または一部の債権者だけを手続きから外したりすることができません。そのようなことをすると「偏頗弁済（へんぱべんさい）」とみなされて、個人再生や自己破産の手続き自体に失敗してしまいます。そうなると、目的としていた借金の減額や免除が受けられなくなってしまうので、元も子もありません。

 

そこで、連帯保証人がついている借金がある場合に個人再生や自己破産をする場合、必ずその借金も対象にしなければならないので、債権者は連帯保証人に借金の一括請求をすることになります。自己破産や個人再生をしても、減額や免除を受けられるのは主債務者の借金だけであり、連帯保証人の債務には影響がないので、これらの手続きをとった場合には、連帯保証人に必ず迷惑をかけることになるのです。

 

5-2．手続き後に連帯保証人に任意に返済することは可能

連帯保証人がついている借金がある場合に個人再生や自己破産をすると、連帯保証人に対して借金残金の請求が行われるので迷惑をかけますし、手続き中に連帯保証人に借金を返済したり、返済するためのお金を渡したりすると、やはり「偏頗弁済」とみなされて手続きに失敗してしまう事になるので、許されません。

そうなると、これらの手続きでは連帯保証人に多大な迷惑をかけたままにするしかないのかと思われるかも知れませんが、実はそういうわけでもありません。

自己破産した場合など、手続き中には連帯保証人だけを優遇して返済資金を渡すことは許されませんが、無事に免責を受けた場合には、連帯保証人に返済をしたり、返済のための資金を渡したりすることも認められます。

自己破産をすると、借金返済義務は無くなりますが、免責（借金がなくなること）後に任意で返済することは自由だからです。

よって、自己破産をしても、一時的には連帯保証人に迷惑をかけますが、その後少しずつでも連帯保証人にお金を返していくことは可能です。このようにすれば、かける迷惑も最小限に抑えることができます。

 

5-3．連帯保証人への影響を最小限にとどめる方法

連帯保証人がついている借金がある場合、いきなり債務整理手続きに入ってしまうと、債権者は連帯保証人に一括請求をしてしまうので、連帯保証人がパニックになってしまいます。このようなことを避けるためには、借金の滞納期間を作らず、そのままの条件で連帯保証人が分割払いを引き継ぐ方法が効果的です。そこで、債務整理をする場合には、事前に連帯保証人に連絡をして債務整理することを告げ、返済を連帯保証人に引き継いでもらうようにしましょう。

連帯保証人が支払を引き継ぐ場合、従前と同様の条件での支払をするのであれば、債権者も納得することがほとんどなので、いきなり連帯保証人に対して一括請求が行われることもなくスムーズに支払を引き継ぐことができますし、連帯保証人への影響も小さくすることができます。

 

5-4．手続き前に必ず今後の方針を相談しておく

連帯保証人がいる場合に債務整理（連帯保証人に影響が及ぶ方法）をするなら、手続き前に必ず連帯保証人に連絡をして今後の方針について相談する必要があります。

連帯保証人がそのまま支払を引き継ぐのか、連帯保証人も一緒に債務整理をするのかなどを検討する必要がありますし、ケースによっては一緒に弁護士に相談に行くべき場合もあります。

確かに連帯保証人がついているときに債務整理をすると大きな迷惑をかけますが、このように誠実に対応することによって、人間関係が悪化することも避けることができますし、トラブルも起こりにくくなります。

何も告げずにいきなり債務整理をして、債権者から一括請求書が届いて連帯保証人がパニックになるという図式になると、一生取り返しがつかないほど人間関係が壊れてしまうことが多いです。

連帯保証人がいても、迷惑をかけずに債務整理する方法はあるので、まずは一度借金問題に強い弁護士に相談をしてアドバイスを受けることをおすすめします。

 

○まとめ

今回は、連帯保証人がいる借金がある場合に過払い金請求や債務整理をする方法について解説しました。過払い金請求の場合であれば、連帯保証人がいても迷惑をかけずに済むことが多いですし、任意整理でも連帯保証人がついている借金を外して手続きすれば、迷惑をかけずに済みます。その他の手続きの場合でも、事前にきちんと相談して対応を検討することによって影響を最小限にとどめることができますし、自己破産後に連帯保証人に少しずつ返済をしていくことなども可能です。

連帯保証人がいる場合に債務整理をしても迷惑をかけない方法があるので、借金問題に悩んでいる場合には、是非とも一度借金問題に強い弁護士に相談することが得策です。

今回の記事を参考にして、連帯保証人がついていても、賢く借金問題を解決しましょう。

 

○債務整理はエクレシア法律事務所まで

このように、債務整理の中でも連帯保証人に与える影響について、またその対策についてお話ししましたが、個々の状況によって、対策は様々です。最も良い債務整理方法を判断するために、債務整理の経験と実績が豊富な当エクレシア法律事務所までご相談ください。

埼玉県の越谷市だけでなく、周辺エリアの春日部市、草加市、吉川市、川口市、三郷市、八潮市、東京都足立区、千葉県流山市など、多くの方からご支持を頂いております。

借金問題の解決はできるだけ早い方が良いです。借金が更に多くなってしまう前に、まずはお問い合わせください。お電話もしくはメールフォームよりご予約いただけます。

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