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■民事再生と会社更生の違いについて
民事再生と会社更生&民事再生法と会社更生法、これらはニュースでもよく聞く言葉ですが、明確に何が違うのか、何をすることなのかを聞かれると、正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
最近の民事再生法の適用企業は白元、スカイマークや美術手帖の出版社等があります。JALは民事再生法ではなく、会社更生法で申請・適用しました。
今回はこの両者の特徴と違いについて比較・解説してみたいと思います。
■会社更生法・民事再生法とは簡単に言うと?
民事再生は民事再生法、会社更生は会社更生法という法律に基づいてそれぞれ行なわれます。
まず両者は共に「再建型の倒産制度」である点では共通しています。
通常、会社が倒産すると「破産申立て」を行い、会社・法人の経営は事実上終了します。
ですが、民事再生や会社更生の場合は、債務超過に陥った会社を「再建」する事を目的とする手続です。
以下では4つのポイントに絞って、両者の違いを解説します。
1・監督委員と管財人の仕事
まず民事再生と会社更生の決定的な違いは、だれが再生の指揮をとるのか、という点です。
○ 民事再生:現経営陣がそのまま経営を行ないます。
○ 会社更生:現経営陣は退任し、管財人が経営を引き継ぎます。
一般的には、中小企業の再建は、債権者がそこまで多くないため民事再生で行なわれ、大企業のように多くの債権者がいるような場合は、管財人が担当する事になります。
なお、民事再生は現経営陣がそのまま続行して経営を行ないますが、それだけだとやはり心配なので、裁判所が監督委員を選任します。
現経営陣はこの監督委員の同意を得なければ、重要な決定はできなくなります。
2・民事再生法は個人でも法人でも利用できる
民事再生の場合は、会社・法人のみならず個人でも利用する事が出来ます。この場合を個人再生と言います。
代表的な例としては、住宅ローンの返済が厳しくなった人が、住宅ローン以外の債務の免除を受けるような場合に利用します。
(※個人の民事再生についての流れ、メリット・デメリットはまた別途記事を書きます)
一方、会社更生の場合は、利用できるのは株主がいる株式会社に限られます。
3・事業再生・企業再生までの”期間”の違い
民事再生の場合、会社の規模もそれほど大きくないため、債権者と話し合って事業の再建計画を作成し、裁判所の認可が下りるまで概ね半年程度でできますが、会社更生の場合は、規模が非常に大きくなるため、再建計画の立案や検証、合意に時間がかかり、裁判所の認可が最終的に下りるまで数年単位で時間がかかる事もあります。
4・株主やスポンサー、債権者はどう見るか?
会社更生でも民事再生でもどちらでも自由に会社が選択できるのか?という疑問があります。
もちろん自由に選べるわけではありませんが、大前提として株主、スポンサーや債権者の理解は必要となります。
例えば、現経営陣が退任しない民事再生を選択しようとすると債権者側から理解が得られず、会社更生にせざるを得なくなる事は多々あります。
ですが、手続の迅速性を考えれば、民事再生の方にメリットがあるため、この辺りはやはり話し合いながら決めていくしかないでしょう。
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