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過払金返還請求をする際に、最も気になる事の一つに「ブラックリスト」の問題があります。
「過払金は返してほしいけど、ブラックリストには載りたくない」
そんな風に思っている人は大勢いるのではないでしょうか。
そもそも過払金返還請求をすると、本当にブラックリストに載るのでしょうか?
実はブラックリストに載るかどうかは、ケースによって変わってくるのです。
■ブラックリストには、何が載るのか。
ブラックリストとは、個人信用情報機関が管理している個人情報の一部を指しています。そもそもブラックリストという、信用能力のない人をリストアップしているデータベースは存在せず、個人信用情報機関が過去の取引履歴などを記録したデータの一部としてネガティブな情報も記録されているだけなのです。
そして、これらの情報を加盟している消費者金融やクレジットカード会社が審査の際に照会し、貸付をするかどうかなどを判断しているのです。
債務整理に関わるブラックリストについての詳細記事はこちら:債務整理を恐れるなかれ。「早期対処」が最良の選択肢です。ブラックリストとはそもそも・・・?
■いわゆるブラックリストが扱う情報の種類は?
個人信用情報機関が扱っている情報には、大きく分けて2種類あります。
その1:個人信用情報機関に加盟している消費者金融やクレジットカード会社が取引のある個人顧客の情報を自ら情報機関に申告して登録しているデータ。
その2:個人信用情報機関が独自に収集した破産や民事再生などの客観的データ。
そして、今回のテーマである過払金返還請求をした際にブラックリストに載るかどうかは、「その1」のタイプになります。つまり、過払金返還請求をされた貸金業者が、信用情報機関にその情報を申告するかどうかが、いわゆる「ブラックリストに載るかどうか」の境界線となるのです。
これについては、個々の貸金業者によって過払金返還請求をされた際の考え方に違いがあるとは思いますが、概ね次のような形になります。
■ポイントは、返還請求によって借金が消えるかどうか。
現在も借金返済中の方が過払金返還請求をする場合、ポイントとなるのは過払金返還請求をして、借金残高がゼロになるかどうかです。
○ケース1:過払金が借金よりも多い場合。
例えば、100万円の過払金が発生していたとして、借金が90万円あったとします。そうすると、過払金の返還によって残債務である90万円が相殺によって消滅し10万円が戻ってくる計算になります。
つまり、過払金返還請求によって借金が完済した事になりますから、登録される情報は、事故情報ではなく「完済」という情報になります。
従って、「ブラックリストには載らない」という表現になります。
○ケース2:過払金が借金よりも少ない場合。
反対に、過払金が10万円で借金が100万円だったとします。すると、過払金が返還されても残債務は90万円残る事になります。
一般的にこのようなケースでは、任意整理の一環として過払金返還請求が行なわれているため、残った90万円の返済については返済計画の見直しとなり、その結果「債務整理」や「延滞」と言った事故情報扱いとなります。
よって「ブラックリストに載る」という表現になります。
○ケース3:すでに借金を返し終わっている場合。
借金を返し終わっているケースでは、2つのパターンがあります。
その1:借入先との取引が完全に終了している場合
この場合ではすでに返還請求先の貸金業者との契約が切れていて、そもそも事故情報を登録する器がなくなっているので、「ブラックリストには載らない」という表現になります。
その2:借入先との取引が継続している場合
例えば借金が完済していても、その会社のクレジットカードをまだ使える状態で所持していれば、契約は継続していると考えられます。この場合は、貸金業者側に情報を登録する器が残っていますので、過払金返還請求をすると、何らかの情報を個人信用情報機関に登録される可能性があります。
ただ、完済後の過払金返還請求は、「延滞」でも「債務整理」でもないため、登録されたとしても、いわゆるブラックリスト、と呼べる情報ではないでしょう。
■ブラックリストって、自分でも見られるの?
意外に知られていませんが、自分の情報がブラックリストにどのように載っているのか照会することができます。
個人信用情報機関に直接問い合わせて、1000円程度の手数料を支払う事で、パソコン、スマホ、郵送、窓口などで情報を開示してもらえます。気になる人は、一度自分の情報を照会して確認してみましょう。
■ブラックリストから自分の名前を消す方法はあるの?!
「個人信用情報機関の登録された、自身のネガティブな情報を消したい」そう考えている人は大勢いるのではないでしょうか。
ですが、残念ながら、いわゆるブラックリストはあなたがどんなに頑張っても何かをすることで「消す」ことはできません。
残念ですが諦めて下さい。
登録された情報を消すためには、情報の保管期間が経過するまでひたすら「待つ」しかないのです。
保管期間は情報の内容によっても多少異なりますが、およそ5年となっています。ですので、あなたが唯一できることとしては、その間に新たな事故情報を提供しない事くらいでしょう。
■消せなくても訂正は可能!?
信用情報機関に登録されている情報は、「事実」であることが前提です。開示請求をして万が一身に覚えのない情報が登録されていた場合は、その訂正をするための調査依頼をする事が可能です。
通常は、信用情報機関を通じて貸金業者に調査依頼を行ない、その結果事実と相違している事が判明すれば、訂正してもらえる事もあります。ですので、調査の結果全くの間違いであったりすれば、削除してもらえるケースもあるでしょう。
ただし、あくまで間違っていた場合ですので、登録されている情報が正しければ、いくら頼んだところで消してもらう事はできません。
ブラックリストに載るかどうかは、対象となる方の債務状況によってもかなり変わってくる可能性があります。ご自身で勝手に動いてしまい、一度ブラックリストに載ってしまうと、待つ以外に消す方法がなく大変な思いをする事になります。
そのため、もしも過払金返還請求をする場合は、そのような事にならないためにも、必ず事前に過払い金返還請求を請け負っている弁護士まで相談するべきです。
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