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■債務整理に関するあれこれを知ると、債務整理の本質が見えてくる
本来、債務整理は一回で終わらせるべきです。一度の失敗から学び二度と同じ過ちを繰り返さない事が大原則ですが、そうは言っても人生何が起きるか分かりません。では万が一、2回目の債務整理を検討せざるを得なくなった場合、どのような事に気をつけたら良いのでしょうか。これを知れば、債務整理の本質が見えてきます。
■繰り返して債務整理をするとどうなる?
残念ながら、人とは懲りない生き物ですので、一度債務整理によって返済計画を立て直したとしても、再び返済を滞納してしまうケースがあります。万が一そのような状況に陥ってしまった場合、またもう一度繰り返して債務整理をする事は、そもそもできるのでしょうか。
○ケース1:繰り返して任意整理をする場合
任意整理には法律による回数制限はありませんので、一度任意整理をしていても、再び任意整理をする事が出来ます。ただ、任意整理とは裁判上強制的に行なうものではなく、裁判外で「任意に」行うものであるため、あくまで債権者の同意がなければ成立しません。
そもそも一度債務整理に応じているにもかかわらず、「やっぱり無理でした」と言ってきた債務者に対して、もう一度チャンスを与えるクレジットカード会社や消費者金融がたくさんあるかというと微妙でしょう。そのため、一回目の任意整理において、かなりの緩和処置で合意したにも関わらず、すぐに返済が難しくなったような場合は、2度目の任意整理は難しくなり、そうなると自己破産をせざるを得ない場合もあります。
ただ、任意整理の失敗は、債務者だけに原因があるとは限りません。
【弁護士や司法書士が原因で、二度目の任意整理が必要になる場合もある】
たとえば、力量のない弁護士や司法書士に任意整理を依頼したばかりに、クレジットカード会社や消費者金融から適切な合意案の提示が受けられなかったような場合です。このようなケースでは、担当した弁護士や司法書士が債務者である依頼者を無理矢理説得するような形で任意整理に合意させてしまうため、結果としてまたすぐに滞納が始まってしまうのです。
つまり、担当した弁護士や司法書士の交渉力の無さを、債務者に押し付けているだけなのです。
実際にこのようなケースでは、二回目の任意整理に至ってしまった原因が当時の弁護士や司法書士にあるため、二回目の任意整理が認められる場合もあります。このため、二回目の任意整理を希望される場合は、債務整理を得意とする弁護士に初めから依頼することを強くおすすめします。
なお、任意整理の記録は個人信用情報機関に登録されるため、5年程度は新たな借入が困難になります。
○ケース2:個人再生後に支払い不能に陥った場合。
個人再生とは、裁判所を通して債務の大幅な免除をもらう手続きです。あくまで大幅な免除ですので借金がゼロになる自己破産とは違います。また、住宅ローン以外の借金について免除を受ける事ができるため、自己破産のようにマイホームを失う心配もありません。
債務整理上、借金がゼロにならないという事は、「継続した収入がある」ことが個人再生の前提となります。
万が一、個人再生によって再生計画に則った返済ができなくなった場合は、クレジットカード会社や消費者金融側から「再生計画の取消し」の申立てがされます。すると、これによって再生計画成立前の状態に戻されてしまいます。
事実上、再生計画での返済ができない場合は、再度「再生計画の変更」を行なうか、完全に収入が途絶えてしまった場合は「自己破産」をせざるを得ません。ただし、給与所得者等再生を行なった場合は、原則として7年間は自己破産の免責許可がおりなくなります。(なお、裁判官の裁量免責がおりる場合はあります。)
【ワンポイント講座】
個人再生の再生計画に則った支払いが難しくなった場合、ある一定の条件を満たす事で、残りの債務の免責が受けられる場合があります。これを「ハードシップ免責」といい、民事再生法235条にその規定があります。
- 条件1:再生計画の3/4以上の返済が終わっている。
- 条件2:債務者に責任のない事情(病気など)で収入が途絶えてしまった。
- 条件3:再生計画の変更が事実上困難。
これらの要件に該当すれば、裁判所から免責を受ける事ができます。
○ケース3:二度目の自己破産は可能か。
これは結論から言うと、自己破産から7年を経過していれば可能です。ただこの場合は一回目の自己破産よりも免責許可がおりるのが難しくなる可能性があります。そもそも、同じ人に何度も自己破産をされてしまうと、周りにいる債権者はたまったものではありません。
自己破産は、借金をチャラにして人生をやり直すチャンスを与えてくれる制度ではありますが、それは破産する本人の「反省」があってしかるべきです。ですから、二回目の自己破産では本人が前回の自己破産から何を学び、そしてなぜまた自己破産に至ったのかを細かく聞かれます。これにより7年ごとに計画的に自己破産をするような迷惑な行為を防止することにもなります。
また、競馬、パチンコなどのギャンブルによって多額の借金をつくったような場合は「免責不許可事由」に該当するため、自己破産は認められません。(参考記事:『自己破産』に関する専門用語が多すぎる!簡単に教えて!)
■債務整理中の借金、キャッシングは絶対にNG。
ときどき、「債務整理中に借りられるカードはありますか?」と質問される方がいますが、これは債務整理の本質を見失っている質問です。これをすると、ほぼ間違いなく借金地獄、火だるま、というあわれな結末が待っています。
本来、任意整理や個人再生によって再生計画を立てる場合は、本人の現在の収入の範囲で継続して返済が可能であることが前提となります。ですから、そもそも新たに借入などしなくとも本来であれば返済は可能なはずなのです。にもかかわらずこのような質問が出るという事は、そもそもの再建計画が「あまい」という事なのです。
確かに、突然お金が必要になる事はあるかもしれませんが、それで新たな借金をしてしまえば必ずどこかでしわ寄せが来ます。
このような方の多くは、話を聞いていくと「車を買いたい」「ブランド品を買いたい」など、我慢すれば済むようなものをキャッシングやクレジットカードによって購入しようとしているケースが多いのです。
厳しいことをはっきりと言いますが、
「そんな考え方だから、債務整理をする事になるのです」
債務整理をすると、必ず債権者に迷惑がかかります。それにも関わらず、自分だけいい想いをするのはやはり筋違いと言えます。自分の身の丈にあった生活に慣れることが、借金地獄、火だるまを回避する一番のポイントです。
そして、身の丈にあった生活を送るための最も簡単な方法は、すべて現金つまりキャッシュでその場で精算するということです。これを徹底すれば、ゼロになる事はあっても、多額の借金が生まれる事はほぼないでしょう。
通常、債務整理をすると、個人信用情報機関に情報が登録されるため、まともな金融機関であれば貸してくれないでしょう。インターネットで検索すると、債務整理中でも融資可能というクレジットカード会社や消費者金融などが出てきますが、債務整理中に担当弁護士に無断でこれらの金融機関で借入をすると、弁護士、金融機関の双方から信用を失ってしまい、さらに追い込まれた状態になってしまうかもしれません。
ですから、もしも自分が債務整理を検討しようと思ったならば、必ず「貸している側」の身になって考える時間を持ちましょう。あなたなら、「返済計画を見直したい」と相談してきている債務者が他でまた新たにお金を借りようとしている事を知ったら、返済計画の見直しに応じるでしょうか?
債権者も所詮は「人」です。筋の通らない事はやはり認められません。ですので、債務整理中の借入を考えるのではなく、借入をしなくても返済が継続できるようなある程度のゆとりある再建計画、再生計画を立てる事が何より重要なのです。そしてそのために、できる限り早く債務整理の得意な弁護士に相談する事をおすすめします。
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